2003年「天使の泉」in石巻開催のすべて 
 

2003年5月中旬、それは突然具体的になりました。
「ねぇ、Spurさん、石巻に行かない?」

昨年11月に小平市で開催された、清水康子さん(東京在住のシャンソン歌手)主催のチャリティーコンサートに 手作り募金箱を一般募集したところ、全国から24個送られました。 その中に、障害を持つ人や高齢者を多く採用し、福祉に力を入れている宮城県の(株)共栄クリーニングから送られたものがありました。
従業員の子供たちが、「自分も障害があるけど歩けるし、仕事もできる。でも世の中には自分よりもっと重い病気で寝たきりの人もいる。」と字が書けない子供は他の子供が代筆したりして、暖かな手作り募金箱に募金を添えて送られて来ました。
募金箱には「病気に負けないで下さい」「びようきにまけるながんばれ!!」「私たちみんなお仕事頑張っています」「みんなも病気なんかにまけるな!!」などたくさんのメッセージが書かれています。


こんのひとみさん
「うれしぃ〜」と清水さん、「こんな暖かな募金箱を作って応援してくれる子供たちに会いたい。」との思いはその時からありました。
12月の東京公演では、(株)共栄クリーニングの安田旦子さんが招待され、安田さんの書いた子供たちへの感謝の詩が、ポエトリーリーディングとして、”こんのひとみ”さんによって読まれました。会場は感動の渦です。

そして今年・・・

清水康子さん

「椿井さんと石巻に行って、ラジカセ持ってクリーニング店の駐車場で2〜3曲歌ってお礼をしたい。Spurさんも行かない?」
「う〜ん、岐阜県からは遠いな〜。でも、9月ならディスカウントチケットを使ってなんとか行けるかも?」
そんな会話が春頃に交わされました。
そして5月。「私にも手伝わせて」と言う清水さんの歌手仲間が1人、2人と増えていき、裏方を手伝っても良いという東京や横浜のボランティアも3人ほど出てきました。

(株)共栄クリーニングの安田さんに話しをすると、「じゃあ、すぐに会場を手配します。」との返事。
毎日新聞さんにも話しをし、「石巻に遊びに行かない?」との清水さんの誘いに、「行きます」と快い返事。
さらに、「毎日新聞がバックアップしますので今回は無料コンサートにしましょう。」
さぁ、大変。無料となると、収入が無いので、会場費や歌手の交通費をどうするかが大きな問題になります。
「会場は、町の公民館などの安いところを探しましょう。」ということになり、安田さんに、あちらこちらに交渉をしていただきました。
歌手の方からは、「いいわよ。交通費や宿泊費は自分で出すから。」と嬉しい返事。それでも手伝いたいという歌手がさらに2人、3人と増え、歌手は8人になり、ピアニストやボランティアを含めると、こちらから出かける総勢は16人にもなりました。

また、現地では、(株)共栄クリーニングの安田さんから話しを聞いた、近所の「河北町福祉作業所かしわホーム」の方も主催者の一員として協力していただけることになり、「がんの子供を守る会仙台支部」の方も協力していただけることになり、現地ボランティアは24人にもなりました。
会場も、クリーニング店の駐車場から石巻文化センターという大きなホールになり、石巻市長、河北町長にも協力していただけることになり、一大イベントになってしまいました。

「新聞に出していただけるといいわね」
「じゃあ、新聞社への投げ込み記事を書きますから、安田さんお願いします。」
「わかりました。石巻日日新聞さんと、石巻かほくさん、河北新報社さんに話しをしてみます。」
「ラジオ石巻さんにも会って来ます。」
「おぉ、すごい、すご〜い」
という会話が交わされたのは7月に入った頃です。
あっという間に話しはどんどん大きくなって行きます。

「ホテルマイルーム石巻さんが、格安料金を設定していただけ、さらに人手も2人出していただけるそうです。音響や照明の操作ができる人みたいですよ。」
「JTBさんが、格安で新幹線を用意していただけるようです。」
「協賛していただける企業さんが増えて、ジュースや海産物をいただけます。」
「協賛企業さんが50社に増えました。じゃがいもも来ます。」「60社に増えました。」「80社に増えました。」「90社を超えました」
「うどんギフト券が来ました。」「ぬいぐるみも来ました。」
「日帰りや1泊の歌手は”土日割引券”がお得みたいです。」
「石巻に行くなら、ナンダコリャ丸で観光もしましょう。塩竈のおいしいお寿司も食べましょう。帰りには松島観光もしましょう」
なんだかものすごいことになってきました。

7月に入るとますます忙しくなり、チラシ、プログラム、チケットなどの原稿を自分たちで作り、ボランティアの友達の印刷屋さんに協力いただいて安く印刷していただきました。
「抽選券はパソコンで作って、プリンターで印刷しましょう。」

8月には、石巻日日新聞さんが、記事を出していただけました。
毎日新聞さんは、全国紙に大きく取り上げていただけました。

さぁ、やっと準備完了です。
たくさんの方の協力で今までに無い短時間で準備が進みました。

そして、いよいよ出発。

清水さんは1日早く、5日に出発し、他の歌手や我々ボランティアが出発する6日は、ラジオ石巻さんへの出演と、石巻日日新聞さんへの表敬訪問です。
石巻日日新聞さんには6日のコラムにも掲載していただきました。感謝とともに、石巻の方の期待の大きさがうかがえます。
現地の清水さんから「朝夕は東京より寒いわよ。上着を持っていらっしゃい」と出演者やボラティアの1人ひとりに気づかいの電話や電子メールをいただきました。

私は岐阜県から7時間。東京の人も自宅から4時間半で、やっと石巻に到着した我々を、清水さんと安田さんが駅で迎えてくれました。
まずはホテルに荷物を置いて、会場の下見です。
安田さん、ホテルの社長などが車を出していただけ、何しろ今夜来る人以外の12人の歌手やスタッフの移動ですから、自動車も3台に分かれなければ乗れません。
想像以上に大きな立派な会場を見て、「これは良いコンサートになりそうだ」と思う一方、「明日の準備は大変だぞ」との心配も出てきました。
下見の後はホテルに帰って明日の準備や歌の練習をする歌手と、せっかくだからと「ナンダコリャ丸」に乗る組に分かれてそれぞれの予定を過ごしました。
その日の夜は、(株)共栄クリーニング会長が一席設けていただき、新鮮な海の幸をご馳走していただけました。
まだ針の動いているウニや珍しいもの、おいしいものをたくさん頂きました。本当にありがとうございました。

本番当日

9時からしかセンターが開かないのに、20分も前から現地スタッフが集合し、今や遅しと扉が開くのを待っています。
扉を開いていただき、慌しく準備が始まります。
舞台作り、客席作り、受付作りなどと平行して、音響や照明のセッティングをセンターの方に2人お手伝いいただき、すべてボランティアの素人が行うので大変な騒ぎです。
予定はずれ込み、リハーサルの時間まで食い込み、それでも何とか無事に準備とリハーサルを終了。
開場前にすでにお客様は300人近く待っています。
さぁ、いよいよ開場です。うまく受付がさばけるか?緊張の一瞬

成功です。500人の会場は、ほぼ満席になり、開場30分で受付処理も終わりました。

コンサートも順調に進み、途中の休憩時間にはたくさんのお客様がロビーに出て、チャリティーグッズを購入していただいたり、募金を追加していただく方もありました。
チャリティーグッズを買い求めてくださるお客様が絶えないので、休憩時間を10分→15分に延長してなんとか第二部を始めることができました。

フィナーレでは、出演者全員が舞台に揃い、河北町福祉作業所かしわホームの方が作ったブーケを出演者とスタッフの全員に頂きました。 また、名古屋の清水さんのファンからは「遠くて行けないから」と花束を贈られ、安田さんが代わりに舞台で清水さんに渡しました。 本当は、安田さんが「名古屋のファンからです」と言って渡すことになっていましたが、成功裏に終わりが近づいた感動で声が出ず、何も言わずに渡すことになりましたが、見ていたスタッフにもお客様にもその感動が伝わりました。
チャリティーグッズはほぼ完売になり、これは今まで無かったことです。
「がんの子供を守る会」の近藤理事も大喜びで、「石巻の人は温かですね〜」と言われていました。

終演後

感動に包まれたコンサートも終演し、出演者を囲んで”打ち上げ”が開かれました。
会費制ですが、お手伝いいただいた現地スタッフも全員出席していただき、「あそこは、こうすれば良かった」とか「もっと、こうすれば良かったね」などの反省も声もありましたが、大役を果たした安心感もあり和やかな打ち上げになりました。
「ぜひ、もう一度やりましょう」と心強い発言もあり、疲れがふっとぶひと時でした。
この打ち上げ会場も、イタリアンレストラン「MOON DISH CAFE」さんに、休業日にもかかわらず、貸切でしかも格安料金で提供いただきました。

その後、翌日の仕事に備えて帰宅する歌手と、もう1泊する組に分かれて帰路につきました。
もう1泊した組は、翌日石巻市長に面会し、お礼を述べて寄付金をお渡ししました。
その後、河北町にある(株)共栄クリーニングさんと河北町福祉作業所かしわホームさんにお邪魔し、お手伝いや出演していただいた皆様へお礼を述べながら仕事場を見せていただきました。
石巻をお昼に出た我々は、松島から50分のゆったりした船旅を少しだけ楽しんで東京へと向かいました。

その後、9月9日には石巻日日新聞さん、11日には石巻かほくさんが再度新聞記事にしていただけ、反響の大きさをうかがえます。
石巻日日新聞さん、石巻かほくさん、ラジオ石巻さん、大変お世話になりました。
(株)共栄クリーニング、河北町福祉作業所かしわホーム、ホテル・マイルーム石巻、守る会仙台支部、その他たくさんのお手伝い頂いた方々に感謝しています。
スタッフおよび出演者一同は、熱の冷めないうちにもう一度宮城公演をやりたいと願っています。

当日の募金は19万円を越す金額が集まり、石巻の皆様の暖かい心の表れかと思います。
この募金は、毎日新聞社東京社会事業団に寄付し、がんのお子様達の為に使われます。
また、たくさんの地元企業さんから協賛品や協賛金をいただきましたので、協賛品はコンサート当日の抽選会賞品に、協賛金は一部を運営費として活用させていただき、石巻市の社会福祉に寄付させていただきました。

※ 掲載した新聞記事はすべて新聞社の掲載許可を頂いています。


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